2015年11月19日木曜日

2015年後期担当授業一覧

立命館言語教育情報研究科



  • 日本語教育学Ⅰ(初級学習者対象の日本語教授法)
    • 主な日本語教授法をワークショップ形式で学び、基礎日本語文法(益岡・田窪)で主要な文法項目を確認したのち、コミュニケーションを重視した初級授業のあり方について議論しています。

  • 特殊講義(日本語の文法と意味の諸問題)
    • 日本語のテンス・アスペクトを扱っています。Yoko Hasegawa (2014)で全体像をつかみ、金田一、藤井、工藤、Vendlerなどの基本文献を読んだのち、テンス・アスペクトとモダリティの接点について議論しています。

  • 課題研究演習Ⅱ
    • M2用の演習です。

  • 日本語教育演習Ⅰ, Ⅱ
    • 日本語教育実習の事前・事後指導を行っています。


日本語教育センター



  • 日本語教授法Ⅱ(中上級学習者対象の日本語教授法)
    • 日本語超級・上級レベルの留学生を対象とした日本事情の授業の一つとして開講されています。自分の日本語学習経験を思い出しながら、自分が習得するのに苦労したことはなんだったか、どんなふうに学びたかったか、などを議論しながら、学習者の立場から教授法を考えています。


2015年11月9日月曜日

まるでドク。。。

昨日、とある会合が神戸大であった。
会議室となった教室のドアを開けるまで、いったいどんなメンバーがいるのか全然知らなかった。しかも、そういう私みたいな人間が大多数を占めているような会合だった。

というと、形だけの、なんの実りもなかったように聞こえるかもしれないが、それは大間違い。相当意味のある会合だった。わくわくした、といってもよい。

その一番の要因は、AB氏。どこから見ても、ドク(バック・トゥ・ザ・フューチャー)。外観だけじゃなく、情熱あふれるところもそっくり。自分の仕事を心底おもしろいと思い、没頭する姿は、清々しいばかり。なんか、この人のためにも頑張ろうって思わされた、不思議なひと時だった。

2015年11月3日火曜日

今更ながら文法教育の必要性

 後期に担当している「日本語教育学 I 」は、初級学習者に対する教授法が主なテーマである。日本語教師が身につけていなければならない知識・技能の話をすると、決まって出てくるのが、「文法だけじゃなく、日本の文化を知らなければならない。」とか、「文法よりも、コミュニケーションが大事だ。」というような意見が出てくる。文法はいつだって悪者・邪魔者扱いである。
 しかし、初級レベルの習得を目指す学習者に教えることができるだけの文法の知識を本当に持っているのか、というと、甚だ怪しいものである。
 じゃあ、日本語文法論についての講義を聴くだけで知識は増えるのか、というと、これまた怪しい。
 そこで、前回から4回の授業をかけて、 益岡・田窪の「基礎日本語文法」で扱われている主な文法項目を履修者に振り分け、まずは、益岡・田窪に書いてあることをまとめ、初級を教える際の留意点を考えさせることとした。前回の授業でお手本となるレジュメを示し、文法項目を振り分けた。今日の授業から院生に担当箇所を発表させている。
 この授業、日本語ネイティブスピーカーよりもノンネイティブスピーカーの方が圧倒的に多い。今日の授業で日本語ネイティブスピーカーの院生の一人が、取り立て助詞について、「日本語らしい表現」「日本人のスタイルにあった表現」のように、自分の立場をはっきり示しながら発表した。
 もちろん、そういう面もあるのだけれど、どこがどう日本語らしいのか、どういう点で日本人のスタイルにあった表現と言えるのか、ノンネイティブスピーカーにとっては、謎が深まるばかりである。
 日本語を教える際には、「日本語的」「日本人的」という面を強調するだけでなく、なぜ、そのようなニュアンスがあるのか、それぞれの取り立て助詞の機能から説明することが期待される。
 文法を邪魔者・悪者にするのではなく、よきパートナーとして扱ってほしいものだと思う。

2015年10月24日土曜日

多文化共生と日本語:外国語として日本語を学ぶ(大阪教育大学公開講座)で講義

少し前になるが、10月10日の土曜日、大阪教育大学の天王寺キャンパスで、一般の方々を対象とした講座で、日本語について講義する機会があった。
http://llc.osaka-kyoiku.ac.jp/course/detail/id/242
タイトルが「日本語を学ぼう」という、なんとも、大雑把すぎるものだったし、また、教室に入るまで、どんな参加者なのかもわからない、という状態のなか準備したので、どれぐらい理解していただけたか、あるいは満足していただけたかわからないけれども、授業後の感想では、日本語についてあらためて考えるいい機会になった、など、概ねよい反応だった。
ここ数年同じテーマでやっているのだが(対象者は毎回違うので)、マンネリ化するといけないので、「ネタ」を仕込むようにしている。

2013年は、「三代前からマーメード」(「あまちゃん」の劇中歌「潮騒のメロディ」の歌詞)の解釈についてだった。「あまちゃん」では、主人公のアキ、母親の春子、そして祖母の夏が登場し、夏が海女さん(マーメード)なのだが、いろいろあってアキも海女さんになった。それが歌詞の一節なのだが、本来、「三代前」というと、一代前が母親、二代前が祖母、そして三代前は曾祖母になるはず。でも、この歌詞を読んだら誰もが間違えることなく三代前は「夏」だと思う。それはなぜか、という話をした。これは基準となる自分自身(あき自身)を数えるかどうか、という問題で、日本語ではどちらの場合もある。

2014年は、「白鳳、豪栄道に土」というニュースの一節の曖昧性をとりあげた。これには「白鳳が豪栄道に土をつける(豪栄道が負ける)」という解釈と、「白鳳が豪栄道によって土がつく(白鳳が負ける)」という解釈がある。でも、ニュースになるのは、明らかに後者の解釈。

2015年の今年は、安倍首相の談話を音声学的(?)に斬ってみた。
「科学(かがく)」が「かあく」
「(戦後)70(ななじゅう)年」が「なあじゅうねん」
「(歴史がゆがめられることは、けっして、あっては)ならない」、「なあない」
って聞こえますよねー。(うんうん、と多くの人がうなずく)
同じ母音の音節が続いた場合に、母音にはさまれた子音が消えてるって考えることができますねえ。「なりません。」は、ちゃんと言えるみたいなんで。
って言ったところ、授業のあとの感想で、「私も、ずっとなんか変な感じがしてたんですが、今日、すっきりしました。」というのが続出。やはり、みんな気になっていたのですね。あ、まあ、単純すぎる分析ではありますが。
なお、このネタは、FBに投稿したところ、一部言語学者の間でものすごい盛り上がりを見せました。

2015年10月4日日曜日

リサーチ・ペーパーに向けての中間発表会に初めて参加して

昨日(2015年10月3日)に所属する研究科の修士課程2年生による中間発表会に参加しました。この研究科では修士論文ではなく「リサーチ・ペーパー」を提出するのですが、そういう名前になっているのは、言語教育を専門とする院生が開発した教材を提出することもあることを考慮してのことのようです。

総勢31名で、3部に分かれ、ポスターセッション方式での発表。とりあえず、自分が副査をしている院生を中心に、それぞれの部で、2〜3本ずつ発表を聞きました。
多種多様なテーマ、そして、進捗状況も相当のバラツキがありました。

まとまりはなくとも、苦しみながら非常に熱心に取り組んでいて好感の持てるものがある一方で、いろいろなツールを駆使しているので一見形は整っているように見えるのだが中身が薄いというのもありました。ぱっと見は、後者の方がよさそうに見えるのですが、ちょっと話を聞けばすぐにわかります。

教員のコメントに熱心に耳を傾ける人が大半なのですが、中には、「あ、わかってるんですけど、それはいれてません。」と、なんだかなあ、という反応をする人もいて、出来以前の問題かな、と思いました。ただ、それは指導をするわれわれ教員の責任が大きいので、反省しなければならないな、と思いました。

2015年10月1日木曜日

The 45th Poznań Linguistic Meeting (PLM2015)のテーマセッションで発表しました。

日本ではまだ暑さが残っていた9月中旬、ポーランドのポズナニのAdam Mickiewicz University(AMU)で開催された第45回ポズナニ言語学会に参加しました。

AMUの言語学科で教えている友人Szymon Grzelakと一緒に企画したInteraction among spatial, temporal and inferential domainsというテーマセッションで、Temporal and modal expressions in Japanese conditionalsというタイトルで発表しました。

学会の規模はそれほど大きくなかったので、こぢんまりとしたテーマセッションで、とてもリラックスした感じで発表できました。


発表の内容はさておき、この学会、開催された場所も非常に立派な建物で、発表の合間のコーヒーブレイクにはコーヒーだけでなく美味しいお菓子がずらり。また、発表が終わった夕方にはワインパーティもあって、とても優雅な学会でした。
こちらはConference Dinnerの1シーン。AMUの先生自らが演奏する音楽でダンス。さすがヨーロッパ。

日本言語学会にもぜひ提案しなくちゃ、と思った次第です。